前述の「美術館散歩 その2」に続いて、先週まで東京都国立博物館で開催されていた「特別展ハニワ」を観てきました。
平日の午前中の空いている時間を狙ってチケットのネット予約をせずに行ったのですが、チケット売り場からものすごい混みようでした。大勢の外国人も含め老若男女が怒涛の如く詰めかけており、チケットを入手するだけで30分以上かかりました。
チケット売り場でこのロスタイム、次から次へと入館して混雑しているだろう会場内で、果たして満足する鑑賞時間が取れるのだろうか?心配になりましたが、正門をくぐると観客の半分以上が表慶館で開催されている「Hello Kitty展」の方に走り出したので、この異様な混雑はそういうことだったのかと納得し、少し安心しました。
とはいえハニワだって人気者、まだまだ油断は出来ません。平成館に入場し第1会場に進むと入り口の展示「埴輪 踊る人々」からすでに大混雑が始まっておりました。

最新の説では馬の手綱を引く姿だとも言われている「踊る人々」のハニワ、なんと可笑しな表情をしているのでしょう。トーハクくんのモデルになったこのハニワを作った古墳時代の職人は天才!わたしは最初から大興奮で、「踊る人々」だけで2,3分も見入ってしまいました。
この特別展の一番の目玉は国内外でバラバラになっていた「挂甲の武人」5体が勢ぞろいで展示してあることなのですが、これ以外にも、あぐらの男子やひざまずく男子の埴輪、踊る人や力士の埴輪、見返りの鹿型埴輪や親子の猿型埴輪などハニワ界の人気者が勢ぞろいしております。


見どころが大変多く、果たしてこの混雑具合と私の鑑賞ペースでいったいどれだけの時間がかかるのだろうか?私は気力体力を消耗し尽くす覚悟を決めて、この贅沢な展覧会の1日を楽しむことにしました。
さて、国宝の刀剣や宝飾類、巨大な円筒埴輪や家形埴輪等もじっくり鑑賞して、いよいよ「挂甲の武人」のコーナーにやってまいりました。



「挂甲の武人」は1体でも見応えがあるのに、5体もそろうと勇壮さが増します。沢山の武人のハニワが古墳に並べられて、墓守をしていたのだろうなと想像すると畏怖すら感じました。
「挂甲の武人」は武人らしさを表す数々の装飾も細かく作られているだけでなく、気高くもどこか儚げな表情の作りが秀逸で、古墳時代の職人の芸術的センスが光っています。
やっと半分までやって来ましたが、その後も「挂甲の武人」の彩色復元や両面人物埴輪、様々な人型や動物型の埴輪と続き、エピローグの「日本人と埴輪の再開」のコーナーまで傑作の目白押し、鑑賞し終えると、どっぷり3時間以上かかっておりました。
「特別展ハニワ」を鑑賞し終え、さらに欲張って1階の常設展も回ったので、頭も体もへとへと状態になりましたが、知的好奇心と想像力の刺激された大満足の一日となりました。
外に出た頃には、とっくにランチの時間は過ぎていたので、敷地内の「カフェゆりの木」で、抹茶とおぜんざいを食べました。今日の疲れを癒す最高のコンビでした。
