美術館散歩 その6 三菱一号館美術館 異端の奇才 ビアズリー展

隠遁ブログ
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東京で私が好きな美術館の一つ、三菱一号館美術館で開催中のビアズリー展(2025/5/25迄)に行ってきました。

三菱一号館美術館は明治時代の英国人建築家ジョサイア・コンドルが設計した三菱一号館(1968年に老朽化で解体)を当時の設計図などから忠実に復元し2010年に開館した、新しいけどレトロな美術館です。

外観も内部の構造も明治時代の趣が随所に感じら、建物内を巡ると(大げさかもしれませんが)明治時代にタイムスリップしたような感覚になれる面白い美術館です。それに加えて、わたしがこの美術館を好きな理由は、明治期の建物の空気感を損なわないようなコンセプトで、私好みの近代美術を中心とした展来会を毎回企画してくれるからです。

今回はオーブリー・ビアズリーの大回顧展です。ビアズリーはオスカー・ワイルドの「サロメ」の挿絵で有名ですが、私自身それ以外の作品はあまり観たことがなかったので、ビアズリーの作品が一堂に集まる回顧展はとても楽しみでした。(一部エリアのみ写真撮影可能)

展示は6章構成でしたが、最初は自分の無知から、ビアズリーの25年の短い生涯の中で、果たしてこの部屋数の多い美術館を満たす程の画業があったのだろうか?と訝しんでおりました。

ところが部屋を巡ると、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館のコレクションを中心とした約220点の作品が各部屋を飾っており、各章では、家計を助ける為に働きながら独学で絵を描き始めたことや、エドワード・バーン=ジョーンズの勧めで画業に専念することになったこと、実はオスカー・ワイルドがビアズリーの挿絵を気に入っていなかったことや、ワイルド裁判のとばっちりを食って定収入がなくなり「卑猥な絵」を手がけざるを得なかったこと等、ビアズリーの波乱に満ちた生涯のエピソードも満載で、大変見応えがあるものでした。

ビアズリーの耽美的な絵の数々を鑑賞し終え、どこか夢見心地の怪しげな足取りとなりながら三菱一号館美術館を後にしました。

お昼ごはんは美術館近くのジョエル・ロブションでパンを買い、日比谷公園で食べました。ベンチで昼の月が出ている空を仰ぎ見ていると、時々桜の花びらがフワフワと舞ってきて、のんびりした、つかの間の幸せな気分になりました。今日も良い美術館散歩でした。

異端の奇才 ビアズリー展|三菱一号館美術館
三菱一号館美術館で開催される「異端の奇才 ビアズリー展」のサイトです。

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