三菱一号館美術館で開催されている「ルノワール×セザンヌ モダンを拓いた2人の巨匠」(2025/9/7迄)を観に行きました。ルノワール大好きの私にとっては、昨年末から楽しみにしていた展覧会で、前売りチケットも早々にゲット、あとは開催日を待つのみという状況でした。
張り切って初日に行きたかったのですが、ちょっと混みそうな予感もしたので、翌週の平日にずらしました。その日は東京駅もなんだか空いていました。丸の内の駅前広場を歩いてもインバウンドがあまり見当たらない…なんて思っていたら外国人の親子に道を尋ねられました。八重洲口のキャラクターショップに行きたかったらしく、反対側ですよと案内。何となく人のお役に立てて、いい気分で美術館へと向かいました。
三菱一号館美術館は以前のブログでも書きましたが、私の大好きな美術館のひとつです。訪れる度に気分が高揚します。こういう場所に勤めたりしたらどんな気分だろうか?毎日仕事が楽しいだろうか?なんて甘い空想をしながら、館内に入ります。
11時過ぎくらいでしたが、予想通りそれほど混んでおらず、ゆっくり鑑賞できそうな予感。音声ガイドも借りたので、解説にも浸りながら自分のペースでじっくり回っていこうと思いました。
今回のルノワールとセザンヌの2人展は、印象派とポスト印象派という表現方法も作風も違い、性格も正反対だけど、実は家族ぐるみの付き合いもあるほど仲良しだった、2人の巨匠の作品を対比させてモダン・アートの原点を観ていくという、オランジュリー美術館企画監修の大変豪華な世界巡回展なのです。

2人の肖像画、静物画、風景画を見比べながら鑑賞できるなんて、何と贅沢なんでしょう。おまけにピカソやヴァン・ドンゲンの絵も観られました。ルノワールの作品にはピンクのマーク、セザンヌのにはブルーのマークといった、それぞれの画家の象徴的な色を、推しのアイドルのメンバーカラーのように色分けしているのも面白くて、分かり易かったです。

ルノワールの絵画は、お初のものも何回も観たものもありましたが、どの作品もやわらかな色遣いと、対象へのやさしい描写に溢れていて、心から幸せな気持ちになります。「桃」「長い髪の浴女」「風景の中の裸婦」「手紙を持つ女」「ガブリエルとジャン」等々、どれも素敵です。


一方、セザンヌの絵はルノワールと対比させることで、その独自性と先見性が際立ってきます。セザンヌの静物画はいつもなぜあんなにどきりとするのだろう。多方面に重力のかかる静物の危うい均衡と緊張を感じるからだろうか。「青い花瓶」「わらひもを巻いた壺、砂糖壺とりんご」「青りんごと洋梨のある静物」「スープ鉢のある静物」などはゾクゾクしながら観入りました。


音声ガイドの羽多野渉さん(ルノワール役)と細谷佳正さん(セザンヌ役)の画家2人の語り合いも、この展覧会の世界観を見事に作り上げており、作品鑑賞に奥行きを加えていて良かったです。
ルノワールとセザンヌの作品に没入できる幸せな展覧会、会期中にもう一度行こうかなと思いました。
帰りにポストカードを買い、チケット売り場に記念の半券をもらいに(電子チケットだったので)行ったところ、ピンクかブルーの服装で来場すると当日券が割引になる「カラーコーデ割」なるものがあることを知りました。また当日券購入者には、カンヌ映画祭で話題の早川千絵監督「ルノワール」の割引チラシがもらえることも判明。前売りチケットは割安で断然お得ですが、当日券もお得イベントを実施していることがあるので、チケット情報は総合的に調べておかないといけないなと思いました。
美術館ランチは何を食べようか、丸の内や日比谷あたりをウロウロしているうちに、腹減り具合もランチタイムもピークを過ぎてしまったので、何も食べずに虎ノ門から渋谷経由でそのまま家に帰りました。
今日も素敵な美術館散歩でした。
